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2012.07.03 出会ったのは

たまらなくなった。
書きたい!うう、書きたい!

久しぶりにそんな衝動がやってきたので、書いておきます。


 さて、困ったことになった。

鞄の中に無造作に入れられたモンスターボール。そこから、仲間たちの心配そうな声が聞こえてくるようだ。
「どうするの?」
「勝てる自信がないよ?」
「修行まだ~?トヲルちゃん」
修行はしないわけではない。しなければレベルは上がらないし、これからに備えることができない。
要は、次の次のジムに関して対策ができない、と言うことだが…

次のジムに対しての対策ができないから、僕は今困っているのだ。

「しょうがない、このままじゃ何もできないし、引きかえそ」

砂嵐の吹き荒れる街並み。風と砂にもまれ、すっかり朽ちてしまった家々。
一応、遺跡として登録されているものの、はっきりした名称はないようだ。ただ人々はこの街を「遺跡」と呼ぶ。
砂に埋もれ、人々が足を運べなくなった古代の城の代わり。
本当に遺跡なのかさえ定かではないのに。

そんな街の中を通って、高速道路の架橋のふもとまで戻ってきた。
人が歩くために作られたアスファルトの道の上には砂がたまる。突如強く吹いてきた風が、たまった砂をさらい、どこかへ運んで行った。砂交じりの風はちくちくと体を刺していった。

「普通ならここに地面タイプがいない方がおかしいんだってば」

いないのは地面タイプだけではないのだが、次のジム戦のことを考えるとどうしてもそう言いたくなる。
明らかにいそうな場所にポケモンがいない。この事象は2年前にも起き、人々を騒がせた。
原因はプラズマ団。この組織も2年前解散した。丁度、騒ぎを起こして数か月後のことだったか。
彼らを解散へ追い込んだのはカノコタウン出身の少女だという。
まさかそんな話があるか、ハッタリか何かだと思い続けていたが、偶然にも少女と幼馴染だったという人間から最初のポケモンをもらい、次に少女の幼馴染だったというジムリーダーと戦い、勝利した。

それでも、血縁的にも人脈的にも、その少女と自分は全く関係ないわけで…

「あら、アンタトレーナー?」
不意に、自分を呼び止めるものがいた。
「……誰ですか?」
カールのかかった長い髪はポニーテール。モンスターボールをシンボル化したマークが描かれた、ピンクと白のキャップを被っている。黒のノンスリーブのジャケット、シャツ。デニムのホットパンツ。
彼女はピンクのスポーツ用自転車にまたがっていた。この砂嵐の中、よくそんなもので走れるものだと感心していたら、急に何か丸い物を投げ渡された。
「顔を見ればお見通し、ってヤツだわ。アンタ困ってんでしょ。何も言わずにソイツ連れてけば」
「え?は?ってか、誰?」
「誰だっていいんだよそんなの。物好きのオネーチャンとでも思っておけば」
そう吐き捨てて女は自転車をこいでどこかへ走り去ってしまった。

丸いものはモンスターボールだった。

中から出してやったその時に見たのは、大きな口と小さな体だった。
そいつには「アルノ」という名前が付けられていた。





今思うなら、もしこの謎のオネーチャンがいなければ、今の僕はここにいなかった。

たくさんの黒服。蛇の姿をしたポケモンを纏わせた女。
「後悔しても、遅いのよ」
僕は言う。
「後悔するのは、そっちさ」
コイツと出会ってから、すっかり口癖になった言葉。

「行くよ、アルノ」

僕は高く高く、そのボールを放り投げた。

現れたのは、僕との旅ですっかり成長し、進化した♀のドラゴンポケモン。

チームトヲルの中でも一番強く、一番賢い。
僕のお気に入り。

そして今日も彼女は暴れまわった。
気高く、美しく、恐ろしく。

「後悔するのは、そっちなんだよ」
女の手持ちのポケモンはすっかりやられていた。僕はアルノにはたった一回しか指示を出していない。
アルノが元から覚えていた強力な技で、女のポケモンすべてをノックアウトしてしまったのだ。


いつしか、アルノは恐怖と敬意を込めて、とある名称で呼ばれることが多くなった。
今でさえ、よく呼ばれる。
僕には、それがとてつもなく心地いいのだ。
僕でさえ、よくそう呼んだりする。


そして今日も僕はそう呼ぶ。

「行くよ、●●アルノ」
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